1. HOME>
  2. 県立農業大学校(Blue star vol.6掲載)

地中熱で育った美しい花が“キラリ”

栃木県県立農業大学校

県立農業大学校

栃木県の公共施設に初導入
地中熱の普及に向けたモデル事業

栃木県の中部に位置する宇都宮市。東京から約100kmで、東北新幹線や宇都宮線などの鉄道交通の充実により、同市から都心に通う人も多い。夏季は、南部に開けた平野と南風の影響で「雷都(らいと)」とも呼ばれるほど雷が多発し、30℃を越す真夏日も多い。冬季は、最低気温がマイナス5~6℃まで下がるなど1日の気温差が大きく、夏冬ともに安定した冷暖房設備が欠かせない。

Data建物規模・システム概要

【農業大学校本館】

空調面積
825㎡
ヒートポンプ
GSHP-3003UR(30kW)×4台
複数台制御装置
GSPC-120×1面
採熱方式
ボアホール方式(ダブルUチューブ)100m×10本
放熱器
ファンコイルユニット(冷暖房) ※FF式石油ストーブ併用

【花き温室1号】

空調面積
230㎡
ヒートポンプ
GSHP-1002UR(10kW)×2台
複数台制御装置
GSHP-PC-HA×1面
採熱方式
ボアホール方式(ダブルUチューブ)100m×5本
放熱器
ファンコイルユニット(暖房)

Flow chartフロー図

【農業大学校本館】

フロー図【本館系統】

本館では空調設備の更新に併せて、地中熱源の空調を追加導入。職員室・会議室・図書室などの計7教室を地中熱ヒートポンプで冷房・暖房している。夏の冷房に関しては、エアコンよりも効きがよいとのこと。近年の酷暑の最中でも地中熱による空調で快適性が得られたという。冬季の暖房は、従来のFF式石油ストーブと併用。朝タイマー運転で地中熱ヒートポンプが稼動しベース負荷をまかない、FF式石油ストーブの使用は冷え込む期間の日中のみに絞っている。平成28年度における年間のCO2排出量実績は、導入前と比較して-49%、灯油の使用量も削減されており、環境負荷の低減・省エネにつながっている。

【花き温室1号】

フロー図【花き温室系統】

農業用ガラス温室は、夏のピーク時には40℃、冬は-4℃を計測するほどの環境。植物を育てるためには年間を通して一定の温度を保ち続ける必要がある。花き温室1号では、胡蝶蘭・シンビジウム・カトレアなどの洋ランを中心に、栽培技術の取得・温度管理などを学ぶ。夏は天窓を開放することで温度を調整するが、冬の室温維持には空調機が欠かせない。設定温度運転としており、温室内を20℃に保つために冬季はほぼフル稼働しているそう。

地中熱ヒートポンプ導入以前は、A重油の加温ボイラーのみだったが、地中熱ヒートポンプと併用することでA重油の使用量が減り、こちらでも環境負荷の低減・省エネ効果を実感。地中熱ヒートポンプと従来のA重油ボイラーを併用することで、費用対効果と投資回収年数を考慮したシステムを実現した。

Photo galleryフォトギャラリー